2025/04/15 06:25



「うちの家族ってさ、コーヒーみたいだよね」

お姉ちゃんがそんなことを言った日曜の朝。

家族5人、いつものダイニングテーブルに座っていた。

お父さんは、インドネシアマンデリン。

どっしりとしたコクと、静かな苦味。

あまり多くを語らないけど、いざというとき頼りになる存在。

仕事で疲れて帰ってきても、黙ってテレビを見ながら、家族の様子に耳を澄ませてる。

「お父さんって、マンデリンっぽいよね」と言うと、少しだけ口元がゆるんだ。


お母さんは、ブラジル モンテアレグレ。


ふんわりとやさしくて、甘さの奥に芯がある。

毎日台所に立ちながら、みんなの笑顔を守ってくれる人。

「今日のコーヒーはモンテアレグレ。お母さんっぽい味だね」って言ったら、

「まあね」と笑って、トーストをもう1枚焼いてくれた。



お兄さんは、コロンビア スプレモ。


爽やかで明るくて、でもしっかりとした存在感。

部活で真っ黒になって帰ってきて、「うるさいなー」って言いながらも、

妹の赤ちゃんの笑顔にはすぐデレデレになる。

「スプレモって、なんかお兄ちゃんみたいに“元気で真面目”だよね」

言われた本人は「は?」と照れ笑い。


お姉さんは、グアテマラ ブルーレイクハニー。


華やかで、でも繊細。

ちょっとマイペースで、空想好き。

時々ベランダで本を読みながらコーヒーを飲んでる姿が、まるでポストカードみたい。

「この豆、あんたっぽいでしょ?」ってお母さんに言われて、「わかってるじゃん」とニッコリ。

そして、赤ちゃんは、エチオピア イルガチェフェ。


まだ言葉もしゃべれないけど、

家族の中心で、いちばん香り高くて、いちばん愛されてる。

その笑顔ひとつで、みんなの空気がまるくなる。

華やかで、透明感があって、癒しそのもの。

「イルガチェフェって、赤ちゃんみたいにやさしい香りだよ」

お姉ちゃんがそう言った瞬間、赤ちゃんがニコッと笑った。


「コーヒーみたいな家族」って、なんだか素敵だ。

今日もそれぞれ違う味だけど、同じテーブルでつながってる。



【添える一言メッセージ】


家族って、コーヒーのように、ひとりひとり味わいが違う。

でも一緒にいれば、心があたたかくなる。